ヨーロッパより一言


Martine Robbeets
(マルティン・ロビーツ)

声のない言葉

18-11-1995

本稿は第5回ベルギー日本人会広報委員会主催の日本語スピーチコンテスト
滞日経験6ヶ月未満のグループの審査員特別賞受賞者
マルティン・ロビーツ嬢の作品をご本人の了解を得て掲載いたしました。



 皆さん、こんにちは。

あちらの奥さまはオランダ語を話します。 隣の男の方はイギリス人です。 あちらに座

っているお嬢さんはフランス語を話します。 そして、今日、もちろんたくさんの日本人

のお客さまがいらしゃいます。 このようにいろいろな文化背景を持った聴衆の皆さまの

前ではなすのは少しこわいです。 私のこのスピーチを一体どんなふうに発表したらいい

のでしょう? 大きな身ぶり手振りとぎらぎら輝く目で気持ちを表すヨーロッパ人のよう

にでしょうか。 または、微妙でけんそんを美徳とする日本人のようにでしょうか。

これは全く違う意味で言葉の問題です。 その問題は語彙や文法やましてや音声学ではな

く大学では勉強できないコミュニケーションの重要な一側面なのです。 それは・・・・

つまりボディーランゲージのことです。


ベルギーで色々な日本人の友達ができたあと、表情に大きな差があると分ってきました。

日本人は大げさな身振り手振りをしては「だめ」としかられて育っていますが私達西洋人

は小さい頃から喜怒哀楽を全身で表すようにしつけられてきました。 このようにボディ

ーランゲージは文化によってちがうのです。

れいとして、日本人の顔色を読むのはたいへん難しいことです。 今日の審査員のみなさ

まはたとえば、私にとって能のお面みたいに無表情なかおをなさっています。 興味津々

でいらっしゃるのかたいくつなさっているのかとても分かりにくいです。 つまり、本心

をおかくしになっていらっしゃるわけですね。 次は視線を合わせることです。 私はお

客さまをこのようにまっすぐ見ますが日本人の講演者だったら聴衆の皆さまを正視しなく

て、このようにテキストを読んだり天井を調べたり窓の方を見たりするでしょう。


ところで日本人のジェスチャーの中には誤解を生むものもあります。 ある日、日本人の

友達はこのような仕草をしました。 (waving hand! come!) 私は「どうして一体出て

行かなければならないのだろう」と思いました。

日本語の先生は「ぼく」を言いながら、ときどき鼻をゆびで指します。 最初、「私の鼻

に何かついているのか」と思って一生懸命鼻をかみはじめました。

それから、日本人の女の人は笑いながら手で口をおおうのはどうしてでしょうか。 また、

単に「いいえ」と言わないでかおの前で手をこのようにうごかすのはどうしてでしょうか。

そして、もちろんおじぎがあります。 東京の平均的なエレベーターガールは一日に2000

回ぐらいおじぎしているそうです。 だから、おじぎをする習慣のない西洋人にとって日

本人はまるでおじぎ人形みたいです。

「けんそん」というものの価値がわからないので私たち西洋人はときどきこのおじぎにつ

いて冗談を言い合っています。


さて、今日はボディーランゲージのお話をしました。 私は、もっと積極的に「語学とし

ての言葉」ばかりではなく「声のない言葉」声はなくとも、大切なメッセージを伝えるこ

のボディーランゲージを勉強した方がいいと思います。 そうすれば、たくさんの文化的

な誤解をさけることができるかもしれません。 いや、きっとできると信じています。

みなさん、みなさんでボディーランゲージを勉強しましょう。

どうもありがとうございました。

Martine Robbeets (マルティン・ロビーツ)
感想等は、info@nihongo.com までお願いします。
1996年1月17日

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