ヨーロッパより一言


Bianca Van Oystaeyen
(ビアンカ・ファンオイスターエン)

日本とベルギーのピジョン・スポーツの違い

18-11-1995

本稿は第5回日本人会広報委員会主催の日本語スピーチコンテスト
滞日経験6ヶ月未満のグループの優勝者
ビアンカ・フアンオイスターエン嬢の作品をご本人の了解を得て掲載いたしました。


 私はビアンカ・フアンオイスターエンと申します。 ルーバンの大学で日本学科の三年

生です。 私の勉強の枠内で、この夏休みに二ヶ月間日本へ行きました。 日本語とその

文化の勉強が最初の目的でした。 その上に私は、ベルギーでナショナル・スポーツのひ

とつである鳩のレースが日本ではどのように行われているかを、もっと知りたかったので

す。 このピジョン・スポーツは、多くの人々に不思議に聞こえるかもしれません。 し

かしそれでも私が高校生の頃飼育していた経験では面白いです。 鳩はいつも平和の象徴

のように見られて、伝書鳩としては、長い間神秘な帰巣本能のために、伝言を伝える手段

として使われました。

 今、ベルギーで生まれた鳩スポーツは全世界に広がり、愛鳩家が国際的な競争に参加す

るために、鳩を作出し、訓練し、そして鳩レースをしたりしています。


 日本の鳩レースは、ベルギーのそれと比べると全く違います。 ベルギーでは鳩にお金

を賭けてもいいのですが、日本はそれを厳しく禁止しています。 日本人がヨーロッパの

チャンピオン鳩に、莫大な金額を支払うのは世間一般に知られています。 賭事が禁止さ

れて、名誉だけを目的にレースをする日本人は、一体何でそういう高い鳩を買うのでしょ

うか。 ひょっとしたら日本人は、みえっぱりなのかも知れません。


 次に、大きな違いは鳩レースそのものです。 ベルギーでは四月上旬にレースが始まり、

短距離のレースは毎週、中距離のレースは二週間ごとに九月頃まで行われます。 そこで

特定の距離だけレース参加する愛鳩家は沢山います。

 日本にはこのレースシステムが有りません。 日本には春秋ふたつのレースが有って、

春には成鳩と呼ばれる親鳩のレースが行われ、秋には春に生まれたばかりの若鳩のレース

が行われます。 それぞれ短い距離の100キロレースからスタートして、徐々に距離が

延ばされ、春は五月の1100キロレースまで、秋は500キロの高松宮賞レースまで行

われます。


 次の日本の鳩スポーツの特徴は、スペース不足という問題です。 多くの日本人は庭が

有りません。 裕福な人や地方の人だけが鳩を飼う場所が有るのです。 ですから東京の

都心では、鳩を飼っている人は殆ど見つかりません。 これはドーナッツ化現象です。

 それから、場所が無いために日本の鳩舎、つまり鳩を飼育する小屋は、上向きに建てら

れています。 中には、三階建ての鳩舎も有ります。 何か日本の住宅事情を反映してい

るようです。 鳩舎の中をのぞいて見ても、高価な鳩がぎゅうぎゅう詰めに一杯入ってい

ます。


 日本の鳩レースは、末だ末だ市民権を獲得していない小さな世界のようですが、それで

もこのスポーツをちょっと見ただけでも、何か日本の社会の縮図を見ることが出来るよう

です。

Bianca Van Oystaeyen (ビアンカ・ファンオイスターエン)
感想等は、info@nihongo.com までお願いします。
1996年1月15日

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