カトレヤ類の栽培「環境、置き場所」
カトレヤと言えば熱帯植物を想像して、温度と湿度の保持に重点がいってしまうのは、真に残念なことです。すべての植物に共通することですが光と風が
健康な植物体をつくるということを忘れてはなりません。
1. 太陽光、日照
日照の強さ
日照の時間
2. 温度
ランの種類と光合成の関係
ランの種類と生育最低温度
温度管理
3. 湿度
ランの種類と湿度の関係
湿度管理
4. 通風、換気
通風、換気の重要性
温室での通風、換気
5. 温室
温室の種類
温室の設置場所
温室の材質
温室に必要な設備
1.太陽光、日照
植物組織の成長には炭水化物を作らせることが必要です。この為には、太陽光のエネルギーが植物体内の葉緑素と生化学的反応により、炭水化物を作るのに必要で十分な分量でなければなりません。
この過程は主として2段階に分けられます。第1段階は光のエネルギーの利用で、第2段階は種々の化合物の生成です。ここでは第1段階の光のエネルギーの利用を中心に述べてあります。なお、第2段階については日照時間のところと「温度」の項に
CAM
植物、「通風、寒気」の項の微風による光合成の促進などのところで若干述べてあります。
カトレヤの葉には表と裏があり、役割が異なります。第1段階では葉の表から太陽光が取り入れるので、葉の表が日に当たるようにしなければなりません。第2段階では葉の裏面が空気の取り入れなどで役割を果たしているのです。
日照の強さ
- ランの種類と必要とされる光線量の関係
- 強光(5万lx以上)を好むもの: デンドロビューム、シンビジューム、バンダ
- 中光(5 -
3万lx)を好むもの: カトレヤ、エピデンドラム
- 弱光(3万lx以下)を好むもの: ファレノプシス、パフィオペディラム、ミルトニア
- (カトレヤ族は中光を好むものが多いのですが、ブラサボラ、ブロウトニア、レリアの一部など強光を好むものがあります。)
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- 日本での太陽光の光線量はおおよそ次のように考えられます。
- 夏の日中の直射・・・・10万lx
- 冬の日向・・・・・・・ 5万lx
- 冬の曇天・・・・・・・ 2万lx
- 晴天の日陰・・・・・・ 1万lx
- 冬の雨天・・・・・・・ 5千lx
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- 遮光の必要性
- 以上のことから、夏の日中の直射にたいしてはダイオネットや木ずり等で遮光する必要があります。論理的には次のようになります。
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- 強光(5万lx以上)を好むもの: 0 - 50% の遮光
- 中光(5 - 3万lx)を好むもの: 50 - 70%
の遮光
- 弱光(3万lx以下)を好むもの: 70 - 80% の遮光
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- 採光と鉢の間隔
- 鉢間隔をつめて置くとモヤシのように上に向かってばかり伸び、決して質の良い花が咲きません。そればかりかカイガラムシの発生を誘発します。
- 鉢と鉢の間隔を十分に開けて、横からの採光と通風に心掛けることにより、丈夫に育ちます。坪あたりの鉢の数を多くすれば花の咲く量が増加するかといえば、むしろ逆です。
リ-ドバルブの芽を摘みとることにより制限して2本たてるだけでも
ステムあたりの蕾みの数はふえます。
さらに摘蕾することにより花の品質はあがり秀品化率が高まります。
採光と通風は強健な株をつくり大きな花を咲かせます。
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- 日焼けについて
- 一般には強い光線ほど植物の生育に効果があるのですが、限度というものがあります。その程度は種類や個体によってばらつきがあります。同じ個体でも、根の状態などによっても違ってきます。その限度を越すと「日焼け」が現れます。ランの場合には、まず、葉緑素が変質して、葉が黄ばんできます。次いで白色に変化し、最後には黒褐色になります。他の病気などを併発しない限りその影響は局部的なもので、その組織が働かなくなるだけですみます。「日焼け」の直接の原因は葉温の上昇にあると考えられ、完全にタンパク質が凝固する状態になります。これには温度だけでなく、波長の長い光線が関係していると言われます。
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- 馴化の必要性
- 冬から初夏にかけては、弱光の下で育った軟弱な葉には、何日かの馴らしが必要です。外に出す場合には、曇天(あるいは
50%
遮光)にします。徐々に馴らすと、相当な強光にも耐えられるようになります。
日照の時間
- 光合成は後に続く合成回路と関係し、その効率が時間によって変わります。これはまた、温度(昼間、夜間)、湿度、通風や栄養に関係しています。
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- 昼と夜の時間について
- 日本の昼と夜の時間は季節によりおおよそ次のように変化します。
- 春分と秋分は昼と夜が同じ12時間です。
- 夏至は昼が16時間、夜が8時間です。(最も長日)
- 冬至は昼が8時間、夜が16時間です。(最も短日)
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- 長日と短日
- 花芽分化を起こすのは、品種によって、長日、短日のいずれかによるものとそうでないものがあります。原種に近いほど、この個性があります。この時の温度、湿度も重要です。
- 開花時期が一定している、秋あるいは1−2月咲きのカトレヤをクリスマスに咲かせたり、展示会用に咲かせるせる場合には、2段階の調整を行います。
- 調整の第一段階は、開花時期が一定しているものは長日、短日に影響されるので、この性質を利用して、昼光を遮蔽したり、人工光を照射して、発蕾の時期を変更します。
- 調整の第二段階は、蕾の成長は光の量(光の強さ
x
時間)に比例するので、光を増減して開花時期の微調整(最大10日程度)を行います。
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- 人工光源について
- カトレヤは太陽光線だけで育成するのが普通ですが、何らかの事情で人工光源を使用する場合があるかも知れません。例えば、温室を持てないで、家の中で育てる場合や前述の「長日と短日」で述べた開花時期を調整する場合などです。この様な場合には人工光源を使います。営利の設備では白熱灯の使用が一般的です。一般の家庭では植物育成用の蛍光灯などが売られているので、これらを使用するとよいでしょう。特に家の中で育てる場合は余程強い光源にするか光源に植物を近づけないと(40W
で 20 - 40cm
程度まで)目的の光量を得られないし、植物全体に平均に照射するのが困難なのです。カトレヤはセントポーリアの場合のように植物の形が平べったくはないので、うまくはゆきません。このための電気代も高額になることを覚悟しなければなりません。あくまでも人工光は短期間の使用や補助的な光源として使用するのがよいでしょう。
- なお、営利を目的にする場合は人工光源(電照設備)は開花時期を調整しなければならないので、昼光を遮蔽するためのシェードと共に必要不可欠のものといえましょう。
2.温度
ランの種類と光合成の関係
- ランは薄葉、弱光型のラン(C3植物)と低夜温型のラン(CAM植物)に分けられます。
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- 低夜温型のラン(CAM植物)
- カトレヤ類、パンダなどの葉の厚い着生ランはこの
CAM 植物にあたります。CAM植物のランは夜温が 18 -20
度に下がらないと昼間作った生成物を栄養の方へ回せられなくなります。この種のランは、夏には夕方に潅水します。温室の場合には昼間
20 - 28 度、夜間 13 - 16
度程度に設定するのがよいといわれます。原生地が高度の高い所のものほど、現地では夜間の温度が下がるので、同様の環境を日本で夏に作るには、ランの種類によっては冷房が必要になります。中には夜温を
6 - 12 度にする必要のあるものもあります。
-
- 薄葉、弱光型のラン(C3植物)
- 大部分の植物が C3
植物ですが、ランでは地生ランなど、薄葉のランがこれにあたります。薄葉、弱光型のラン(C3植物)は昼夜共に
20 - 25 度を好みます。温室の場合には昼間 20 - 30 度、夜間 17 - 20
度程度に設定するのがよいといわれます。
ランの種類と生育最低温度
- ランの生育最低温度はその種だけでなく、生育環境や馴化の具合によって異なるので、一概に決めつけることはできません。
- ここではあくまで参考までに分類してみました。
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- 生育最低温度 15 - 18 度(熱帯低地)のラン
- バンダ、ファレノプシス、カトレヤ類、デンファレ、リンコスティリス
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- 生育最低温度 11 - 13 度(熱帯中高地 - 亜熱帯)のラン
- アングレカム、パフィオペディラム、フラグミペディウム、カランセ、カタセツムなど
-
- 生育最低温度 8 - 10 度(熱帯高地 - 亜熱帯)のラン
- シンビジューム、セロジネ、ジゴペタルム、マキシラリアなど
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- 生育最低温度 0 - 7 度(温帯 - 寒帯、凍らない程度でよい)のラン
- セッコク、シラン、エビネ、シュンランなど日本や中国のラン
温度管理
- 暖房の必要性
- ランの栽培にあたって最大の問題は温度でしょう。原生地の環境と日本の環境があまりにも違うからです。カトレヤは熱帯から亜熱帯の植物ですから、日本では殆どの地域で何らかの保温が必要になります。このための設備で一般的なものが温室です。
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- 冷房の必要性
- カトレヤも中南米の奥地の樹林帯に着生していますが、500〜3000mに生え、気温は
200m昇るごとに1度下がるので1000mでは低地で 30 度なら 25
度、2000mでは 20 度、2500mともなれば 17.5
度になります。熱帯地方は、日本のように四季はなく、雨期と乾期の二季に分かれています。晴天日であっても必ずと言って良いほどスコールが降り、気化熱の作用によって一時的とはいえ気温は下がります。高度差に加えて乾期には風、雨期には降雨のため、かなりの低い温度になります。そして昼間の温度以上に問題なのが夜間の温度です。山間部では夜間の冷え込み激しく、昼間の暑さとは対照的になっているのです。
ところが日本の夏は、例年、夜間になっても30℃以上ある熱帯夜が平均25日もあるとなれば、夜間の温度が高温過ぎることになります。
- そこで昼間から温度を下げるための工夫として、遮光ネットを張ったり、木陰で栽培し、また風通しを良くするために扇風機を回したりすることが必要になってくるのです。
- 特に夜間の温度を下げるためには、夕方には水を撒いて、気化熱で温度を下げることも必要です。これでも十分でなければ、冷房に頼らざるをえません。中には「山上げ」といって、ランを夏の間だけすずしい山間部に避難させている人もいます。
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- 昼間と夜間の温度差
- 品種によっても生育温度は違うので、一概に何度ならばよいと言うことはできません。また、馴化ということもあります。しかしながら、その巾は以外に小さく、時間もかかりますので、あまり期待できません。結局、その種にあった温度が必要だということです。では具体的な数値はといえば、カトレヤの場合には、おおよそ日中
25 度、夜間 15
度を保つこと、昼間と夜間の温度差を 10
度とすることが目途になります。しかしながら、カトレヤ
・ワルケリアナ(Cattleya walkeriana)の場合、温度差は
20 度と言われています。また、カトレヤ・ヴィオラセア(Cattleya
violacea)に代表される熱帯のランについては、常時最低 21
度以上、最高 30
度まででの栽培が推奨されています。専門家の書いた
Warm - Growing Cattleya Culture by Margaret and Charles Baker
を参照願います。
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3.湿度
- 湿度は葉や茎への影響だけでなく、結果的には根にも関係してきます。根との関係については「水やり」の項を参照してください。
ランの種類と湿度の関係
- ランの種類と湿度
- ランの栽培において温度に次いで気を付ける必要のあるのが湿度です。湿度はランの生育のリズムをつくります。湿度が高いときは蒸散作用が抑制され、根からの水が少なくてすみます。葉が薄くて広いランほど湿度が高いのを好み、葉が厚くて革質の厚い葉の場合は、より、乾燥に耐えるものです。そして、薄葉のものは乾燥してくると、葉が黄変し、次いで落葉します。厚葉のものは過湿になると余分な水分を持つ根を枯らして、バランスをとります。
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- 日本の湿度
- 日本は季節により、湿度の変化が大きいのが特徴です。春から夏の間は湿度が高く、50%
を割ることは殆どないので、戸外や解放した場所でも生育します。しかし、冬は戸外では往々にして
15%
以下になります。この冬の乾燥はランにとっては致命的によくありません。
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- カトレヤに必要な湿度
- カトレヤの場合には、日中 60%、夜間 80%
以上を目途にします。また、前述のように、夏には夕方に潅水します。翌日の朝まで水滴が残るくらいがよいとされています。
- 一般的には、成熟後に減水、ある程度乾燥させれば、花芽が多く得られ、多湿にすれば、芽になると言われています。
湿度管理について
- 加湿の必要性
- 日本は梅雨の一時期、多湿になりますが、多くの季節が雨が降っても直ぐに晴れの日になり、湿度が足りなくなる日数が多いので、湿度が低い場合は加湿が必要です。特に冬季は雪の多い地方を除いて、乾燥しますので加湿は絶対に必要になります。
- 冬に温室の温度を上げるために加熱すれば、温室内は相対的に湿度が下がることになります。このため、加熱方法によっては乾燥が一層進むことになるので、その意味でも加湿が必要になります。
-
- シリンジ、霧水
- 空気が乾いているときに湿度を一時的に与えるための方法がシリンジです。霧吹きなどで、葉などに霧状の水をかけ、温度を保ったり、温度を下げて暑さや乾燥をしのぎます。ホコリやダニを洗い流すことを含め、葉水とも、シリンジともいいます。
- 根を傷めている場合などは水分を補充することがままならないので、シリンジで葉からの蒸散を防ぎます。シリンジは葉や茎に行い、花に行ってはなりません。乾いた後で花弁にあとがつきやすく、見苦しくなります。また、温度が下がるとポトリチス菌などが発生しやすくなります。
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- 湿度と病害虫の関係
- 一般に湿度が高いと病気が発生しやすく、湿度が低いと害虫が発生しやすいと言われています。
4.通風、換気
通風、換気の重要性
- 通風、換気が重要であることは判明しているものの詳細についてはまだまだ十分な解明がなされてはおりません。
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- 微風による光合成の促進
- 植物の新陳代謝、成長を促進し、温度を下げて、病害を防ぐには通風が重要です。風がないと植物の葉の表面を取り巻く空気は薄い層となり、炭酸ガスが葉の中に取り入れられるのを妨げます。風が吹きますとこの層が吹き飛ばされ、炭酸ガスが葉に入りやすくなります。従って光合成は活発に行われます。湿度の高いときには特に必要です。
- 東洋の言葉に「蘭は気を好んで、風を忌む」とあります。人の肌に風を感じ植物の葉が時折動く程度の風、つまり秒速
0.5m 程度の風が理想的で、秒速 1.5m
以上に風が強くなりますと光合成が促進されるどころか、逆に風による害がでます。
- 日照が強くて風がないと、葉の蒸散速度が低下します。その結果、葉の温度は高くなり、呼吸は促進されます。呼吸速度が増せばそれだけ消耗が多くなり、見掛けの光合成は低下します。風は植物の葉へ炭酸ガスを供給し、蒸散速度を変え、葉の温度上昇を抑えてくれているのです。
- また、微風を送り続けることにより、植物の生育に効果があるだけでなく、細菌の繁殖を防ぎ、病気の予防にもなると言われています。
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- 風による害
- カトレヤなどの着生ランは、空中湿度を好み、乾いた風を嫌いますので、適当に風から守る工夫も必要です。
- 普通の場合は肌に快い程度の風が理想的ですが、その程度の風でも、水分状態のよくないときは生育を抑制しますので、根の傷んだものや植え替えなどで根を切ったものなどは吸水能力が回復するまでは風に当てないようにします。
- 葉がそよぐ程度の風になると、明らかに害になります。
- 風が強くなると葉面からの蒸散が多くなり過ぎますので、植物は気孔を閉じます。気孔が閉じられれば、炭酸ガスの供給はなくなり光合成は行われなくなります。また、葉擦れを起こすなどの機械的な障害を受ける場合もあります。
- 台風時には窓や出入り口を閉め、風が温室内に吹き込まないように、また寒冷紗などが吹き飛ばされないようにします。また場所によっては風が内陸部まで塩分を運んできますので、注意が必要です。万一塩分のある風にあたってしまった場合には、すぐに水洗いをして塩分を洗い流します。
温室での通風、換気
- 温室での通風、換気
- 特に温室の場合には限られた場所に閉め切られた環境では新鮮な空気を取り入れることと、空気の循環をはかることが大切です。ランの種類によって時期は異なりますが、成熟期には潅水を控え、空気の流通をよくしてやり、やや強い光線を与えれば、健全なよい株になると言われています。特に冬季の寒い時期には温室の上部の窓の開閉だけにして、植物に直接寒気があたらないような配慮が必要です。
-
- 小さな温室では
- 温室内に扇風機を取り付けて空気の循環をはかるのが普通ですが、小さな温室では扇風機自体が場所をとりますし、風が強すぎたり、風が直接当たる範囲が大きく、そのような場所には植物を置けません。以外とやっかいな問題なのです。そこでおすすめはパソコン用の冷却ファンです。小型で場所もとりませんし、風量も適度で耐久性もあります。大きな扇風機一つよりこの小さなファンを幾つか付けてやるほうが、ランにはよいようです。
5.温室
- 温室については詳細は業者の方に聞いていただくとして、参考になる情報を述べるに留めます。
温室の種類
- <本格的な温室>生産者が使用する本格的な温室なら100m2
単位のものを規模に応じて数棟から十数棟持つことになります。
- 簡易なところではビニールハウスという方法もあります。
- <趣味の温室>趣味で温室を持つ場合には
33m2 程度のものを1−2棟持つ場合が多いようです。近頃は 3.3m2
程の小さな温室も売られています。半地下式フレームや室というものもあります。半地下をブロックで囲い、空中ケーブル線などで加温します。
- <サンルーム>家庭ではサンルームがあればこれを活用することが考えられます。サンルームを温室がわりに使用する場合、温度や湿度、それに換気の問題もありますが、一番の問題は消毒や水の取扱いでしょう。消毒や潅水を別の場所でえ行い、液体がたれないようにしてから、運び込まないといけません。床が木の場合などは特に気を使うことになります。
- <ワーディアンケース>この他に家庭園芸用にワーディアンケースと呼ばれる室内温室も色々な種類のものがでています。これらの室内温室は基本的には人工光でランを育成するようには出来ていませんから、室内の日光の当たる場所に置いてやらねばなりません。また、室内に置くのが前提で作られているので、ベランダなど外に出してはなりません。雨風や冬の寒気からランを守れるほど十分な強度や寒さ対策は出来ていないのです。
温室の設置場所
- 温室を作る場合には次の点を考慮すべきだとされています。
- 日照が十分あり、冬も日が入る、出来るだけ暖かな場所であること
- 電気、(ガスを使う場合はガス)、水道、(必要により電話など)が使えること
- 風通しがよい場所の方が望ましいこと、
- 排水の便があること
- 自宅に近くて、管理しやすいこと
- 将来の拡張性があること
- 車が入る道路があること
- 営利が目的ならば、できるだけ消費地に近いこと
温室の材質
- 昔は温室の枠は木材、それにガラスを入れるものと決まっていました。時代の流れで、現在では鉄骨やアルミ枠の温室が主流で木材の枠は殆ど見なくなりました。熱伝導の観点からは木材の方が優れているといえましょう。
- 現在、ガラスは 3mm の透明ガラスか 4mm
の強化ガラスを使う場合が多いようです。4mm の強化ガラスの値段は 3mm
の透明ガラスの倍以上します。風が強い場所では 4mm
の強化ガラスを使うのが普通です。二重ガラスを使えば保温効果は一段と向上すると考えられます。
- 新しい素材としてガラスの代わりに FRP
と呼ばれるガラス繊維強化ポリエステル板やポリカーボネート樹脂板などを使用した温室も出来ています。一般にはガラスが最高で、次いでポリカーボネイト、塩化ビニールなどの順でよいと言われていますが、予算との関係や設置の条件にもよります。ファイロンは2〜3年で透明度が著しく低下するとも言われています。今後も新素材が出てくると思われます。
- なお、英国などでは古くから温室の壁に煉瓦が使われている場合があるようですが、これがランにとっては湿度を保つ上で効果的であるとの指摘もあります。
温室に必要な設備
- 遮光設備(シェード)、電照設備または補助光設備と照度計
- 一般に洋ランは光の量が多すぎてはいけないので、温室の屋根の傾斜を緩やかにすることが出来、1m
に対し 13.5cm-15cm の勾配にすることができます。
遮光には温室内のカーテンとしてのダイオネットなどで普通 50%
遮光のものを用意します。(遮光ネットはネット全体で平均的に遮光するものよりも市松模様になっているものの方がよいようです。)
通常は屋根面に設置するだけでなく、午後の強光や西日を避けるために南や西側側面に設置します。また、温室の外部に遮光ネットを張る場合もあります。
- 目的や設置場所によっては白熱灯などを使用した電照設備もしくは一般の家庭などでは補助光設備として植物育成用の蛍光灯を設ける必要があるかも知れません。
- 照度による遮光や電照の自動化がなされるようになりました。
- 少なくとも 10 万 lx
まで計れる照度計を用意しておくとよいでしょう。
-
加温設備、冷房設備と最高最低温度計
- 燃料別に加温設備の費用を考えてみると、1.石油(重油、灯油)2.ガス(都市ガス、プロパンガス)3.電気、の順になります。
加温の効率からみると、1.直火式(電気、ガス)、2.輻射式(ストーブ)、3.温湯式(ボイラー)の順になります。
冬の間、温室の外側を透明な保温材(ポリエチレンや塩化ビニールのフィルム)で覆うと暖房効果が一段と上がります。
温室では温度管理にサーモスタットを使用します。
- 日本の中でも暖かい所や栽培する種によっては冷房設備が必要になります。
- 自動的に温度管理をして温室の窓の開閉や暖冷房を行うのは常識になっています。
- 最高最低温度計は温室の必需品です。出来るだけ、室内外の幾つかの条件の違う場所に設置したいものです。
- 加湿設備と最高最低湿度計
- 規模が小さければ、家電製品の加湿器の大きなものでも、十分に役立つでしょう。室温を下げないためには電極スチーム過熱方式などスチーム式のものがよく、気化式のものは避けた方がよいでしょう。水道水で気化式を使用するとカルキや雑菌もまき散らすので、ランにはあまりよくはありません。容量が足りなければ設置個数を増やします。家電製品の場合、湿度の自動コントロールが付いていて、
60%
程度迄しか加湿出来ない場合があるので、改造が必要になるかもしれません。
- 最高最低湿度計は面積に応じて設置します。問題は安いものは精度がよくない(湿度計を数個並べて計ってみれば一目瞭然で判ります)ので、目安に留めた方が無難です。
- 通風換気設備と風力計
- 通風は第一に温室内の上部と下部の温度差がなくなるように攪拌扇をつるします。その他、室内で空気が循環するように必要に応じてファンを取り付けます。
- 換気は天窓の開閉中心で行います。これには、室内の温度の変化を察知して自動的に天窓を開閉する自動天窓開閉器をつけると便利です。
横窓を開けての換気は空気が暖かくなってからにします。
真夏には出入り口をはじめ出来る限り解放します。
温室には室内の温度の変化に合わせて自動的に換気する自動換気扇をつけるか、少なくも手動の換気扇をつけて強制換気する必要がある場合もあります。
- 出来れば、0m/s から測定でき 0.1m/s
単位の微風が測定できる(熱線式などの)風力計も揃えておきましょう。
- 水関連
- 温室内に水道と洗い場(作業場)があると何かと便利です。
- 水やり用に水槽を設け、貯水し、水やり用の水の温度調整やカルキ抜き、ph
調整を行えばもっとよいでしょう。
- 用意しておくとよいものに、水温計、ph
計があります。残留塩素計はあまり必要ではないかも知れません。
- その他
- 電気器具を使用するための余分なコンセントを設けておくと便利です。
- 農薬散布の自動化も一部では行われています。
- 防虫ネットを設けておくと便利です。
- 鉢を置くための棚は網状になっているものが、通気性がよく、望ましいとされています。同様につり鉢用にバーを設けるとよいでしょう。
- 営利の場合には最大限自動化し、かつコンピュ-タで管理できれば人件費より安くつく場合が多いし、
生産を計画的に進めるには自動化とコンピュータ管理は不可欠です。
カトレヤ類の栽培「管理、面倒の見方」 ヘ
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