1993年11月に発効したマーストリヒト条約によって、EUは通貨とともに主権国家にと
って最大の関心事である外交及び安全保障までも共通政策として追求していくことになっ
た。 もちろん、具体的な政策の決定にあたっては紆余曲折が予想されるが、EUが国家
連合を超えた連邦的統合体としての性格をより鮮明にしつつあることは間違いない。
本書の執筆者は十数年前からEU(EC)研究会をつくり、その機構や財政、政策決定
の方法や過程、農業・エネルギー・通貨統合等の個々の政策、外交関係などを継続して研
究してきた。 本書の前身として1987年に刊行された「ECー欧州統合の現在」はその最
初の大きな成果であった。 ECの全体像を網羅的にとりあげ、しかも学問的に掘り下げ
た同書は、ECを正確に分析したベーシックな本として多くの読者に歓迎され、長らく版
を重ねてきた。
本書は、その全面改訂新版であるが、単に個々の記述を新しくしたばかりでなく、マー
ストリヒト条約によって大きな変貌をとげたEUを今日的な問題意識に立って把握すべく、
全体の構成を一新し、大部分の章を書き直したものである。 最新のデータを取り込み、
資料的にも充実している。
日本人にとって、EUについての最大の関心事は日本とEUの経済関係であろう。 本
書でも「日本・EU関係」という章を設けて貿易を中心にこの問題を考察している。 し
かし、先にも述べたように、EUが主権国家間の協力を前提にした国家連合という段階を
はるかに超えた存在になりつつあることは、EUをとらえる際、決して忘れてはならない
ことだろう。 その意味で、EUを「欧州連合」と訳す大勢にあえて異を唱え「欧州同盟」
とする本書の執筆者らの一貫した主張は傾聴に値する。
「ECからEUへー欧州統合の現在」
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