「ヨーロッパ統合と文化・民族問題 --- ポスト国民国家時代の可能性を問う」

(西川長夫・宮島喬編・人文書院)

 ヨーロッパ統合とは、近代ヨーロッパの基本枠組みであった国民国家を、政治・経済の
分野にとどまらず、民族のあり方や生活・文化の全体にわったって再編し、新しい人間社
会を創造するこころみといえよう。 それは西洋人の価値観の大転換をもたらすだろう。
しかし日本では、共通通貨や市場統合など経済面への関心は高いが、政治と経済のかかわ
りや、EUと民族や文化との関連への関心は薄い。

 本書は十人の著者が、マイノリテイーの人々や外国人労働者、住民の言語・宗教・教育
・性・女性の地位などの面からEUを考察した貴重な本である。 世界経済の中心から遠
ざかり、民族問題をかかえるヨーロッパの人々が、ファシズムを生み出した歴史への反省
から出発して、国家単位で行動することをやめ、平和と繁栄のために努力している姿から、
われわれは、21世紀の日本がどのような方向へ進むべきか、アジアの国々とどのような
関係をもったらよいか、についてのヒントを学ぶことができる。

「目次」

  西川長夫  「歴史的過程としてのヨーロッパ」
  宮島喬   「ヨーロッパ統合と民族の論理」
  林瑞枝   「EUのなかで外国人は」
  姫岡とし子 「ヨーロッパ統合と女性」
  高橋秀寿  「ドイツ人の ”脱国民化”?」
  戸門一衛  「スペインのヨーロッパへの統合」
  宮本太郎  「ヨーロッパ統合と社会民主主義」
  村上信一郎 「もしイタリアが一つの国であることをやめるならば」
  一條都子  「イギリスの解体?」
  梶田孝道  「統合と分裂のヨーロッパ」


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