1600万を数えるEU内の「中小企業」(PME,SME)は、産業の活力と雇用機会を
与え、EU経済の発展に重要な役割を果たしているが、その実情や課題はまだよく知られ
ていない。 本書はこれらを概観しながら、欧州委員会第23総局(DGXXIII)を
中心にすすめられてきたEC(EU)中小企業政策の発展を、「EC市場統合」との関わ
りを軸に整理する。 そして政策の機能と実態を、各地での調査をふまえて「企業間協力
関係」づくりの施策を中心に検討し、特徴と問題点を指摘した本格的な研究書である。
本書は著者独自の「中小企業政策」観をもととし、日本の中小企業政策の経験との比較
を強く意識している。 また、従来の「各国経済」の枠を越えた企業活動の展開と、これ
に対する新しい政策主体としてのEU(欧州連合)の持つ意味を、新たな枠組みでとらえ
ていこうと努めている。 EUの中小企業は国境を越えた産業システムの展開を担うもの
であり、しかも中小企業に従事する多くの人々と、それぞれがよって立つ地域の経済と社
会の複雑な利害関係を反映している。 こうした中小企業の活性化と積極的な役割の発揮
なくして産業の競争力の強化は図れないことは、日本の経験が教えている。 それが従来
の日本的な「ケイレツ」や「管理された」熾烈な競争原理、大きな社会的「格差」などを
単純に追体験するのではなく、また狭い「保護主義」的な見地に陥るのでなく、自由、参
加と平等にもとづく開かれた市場経済、その中での社会的公正と連帯の実現をめざす欧州
市民社会の理念に即して発展を遂げ、欧州経済の再生を実現できるのかどうか。 ここに
本書の問いかける「中小企業政策」の普遍的今日的な意味がある。
[EU欧州連合と中小企業政策」
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