<合成ダイヤモンド>

炭素の平衡状態歴史現状合成ダイヤモンドの製造法


合成ダイヤモンド(マンメイド・ダイヤモンド)


炭素の平衡状態

炭素は高温になると液体になります。低温では黒鉛になる場合とダイヤモンドになる場合があります。これには圧力(気圧)が関係しています。気圧が高ければダイヤモンドになり、気圧が低ければ黒鉛になります。その関係を図にするとおおよそ次の図のようになります。但し、この図には時間の要素が含まれていません。(特に黒鉛がダイヤモンドに変わる相転移には長い時間が必要です。)

 

炭素は例えば、4000度、15万気圧以上では液体ですが、この場合に温度だけが徐々に下がって 3000度になったときには液体の状態から固体のダイヤモンドになるのです。自然に産出するダイヤモンドは前述のように地下約 200km のマグマの中でできたと思われます。この時の温度は 2000度、気圧は7万気圧程度です。人間はこの自然と同じ状況を作って合成ダイヤモンドを作ったのです。その後の研究で鉄などの溶媒金属にニッケルやゲルマニュームなどの触媒を使ってもっと楽な条件で作れることも判ってきました。しかし、触媒などを使えば、これらの微量元素がダイヤモンドに色をつけてしまい、宝飾用にはなりません。

合成ダイヤモンドの歴史 

1955 年 3 月に米国のGE社はダイヤモンド合成(マンメイド・ダイヤモンド)に成功した
と発表しました。 GE社の発表のすぐ後にスウェーデンのASEA社からもGE社より
も2年も早い 1953 年に既にダイヤモンドの合成に成功していたがこの時のダイヤモン
ドは砂粒よりも小さなものであったので公表を差し控えていたことが報じられました。
実際の製造方法は溶媒金属をもちいて 1200-2400度の温度で 5.5-10万気圧で生成し
たと言われます。 ダイヤモンドの結晶の成長する速度は1分間に 0.1mm 程度です。

1959 年、デビアス合同鉱山は彼らもダイヤモンドの生産に乗り出すと発表しました。
GEの発表の直後に、ベルギー領コンゴの鉱山会社であるベセカ社の協力を得て開発
研究を始めたのです。 1958 年の 9 月にデビアスのチームは南アフリカで最初の人工
ダイヤモンドの作成に成功したのです。

1962 年になって、日本でもダイヤモンドの合成に成功しました。 それは東芝電気研究
所でニッケルとゲルマニュウムを触媒として、六万気圧、800 度という、GE社よりも遥
かに楽な条件で人工的にダイヤモンドを作りだしたのです。 これは勿論工業用です。

1970 年、GEの技術者は温度差法という方法で1カラットの宝石用ダイヤモンドの合成
に成功しました。
これはある温度より低温に保った一端に種子結晶を置き、高温にした他端に原料の
ダイヤモンド粉末を置き、その間に温度差をつけます。 もちろん、全体に約六万気圧
の高圧をかけます。 原料のダイヤモンド粉末は高温のため溶媒金属の中に溶け込み
種子結晶に到達して、結晶をゆっくりと成長させます。
GEの技術者は1週間かけて直径約 5mm (1カラット)に成長させたといいます。

合成ダイヤモンドの現状 

現在では数カラットもある宝石用ダイヤモンドを合成できるようになりましたが、一定の
高温高圧を1週間も維持しなければならないなど、費用が掛かりすぎて実用にはなって
いません。

米国のほか日本をはじめ世界各国で合成ダイヤモンドの生産が行われています。
これらの合成ダイヤモンドは数分の一ミリの小さなもので、精密工業用の硬い
物質を削ったり磨いたりするのに使われています。

現在では各種の方法で米国、南アフリカ、CIS(ソビエト)、エール、日本、スウェー
デン、オランダ、チェコなどで合成ダイヤモンドが作られています。 多分中国でも作ら
れているのではないかと考えられています。
合成ダイヤモンドの価格は当初自然に産するものの2倍程度していましたが、現在では自
然に産するものよりも安くなってきています。 その結果、1969 年の段階で既に 4000万
カラットを生産するまでになり、自然に産する工業用ダイヤモンドの 4400 万カラットに
追いつく状況となっています。 ですから、現在では人工の合成ダイヤモンドの方が、自
然に産するダイヤモンドよりも生産量が多くなっていると思われます。

合成ダイヤモンドの製造法 

主な製造方法は次のとおりと言われています。

 (1) 溶けた溶剤触媒から成長させる方法
 (2) 人工衝撃波による方法
 (3) 溶媒を用いない直接変換法
 (4) 溶けたカーボンから成長させる方法
 (5) ダイヤモンド種子結晶を使った炭素質のガスから人工的に変位させる方法

何れにしてもカーボンから合成ダイヤモンドにするには次の三つの段階があると言われ
ています。

 (1) カーボンからグラファイト(石墨)への変化促進
 (2) グラファイト(石墨)から金属炭素溶液への溶解
 (3) 金属炭素溶液からダイヤモンドへの結晶とその成長


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