<ダイヤモンドの価格>

資産価値市場カラットと価格形と価格価格と研磨技術者カットの歩留り

ダイヤモンドの資産価値

一般的に宝石の財産としての特徴は、耐久性と携帯性にあるとされています。 耐久性は
硬度が高く傷みにくいだけでなく、時代が変わっても値打ちはあまり変わらないという意
味も含まれています。 この点でダイヤモンドは宝石の中では財産として最も優れている
と言えましょう。 しかしながら、物事には必ず弱点があります。 ダイヤモンドは衝撃
や火災に比較的弱いこと、売りたい時に値打ちほどには売れないことなどです。 この点
では金の方がよほど優れています。 ですから、短期間に値上がりを期待して儲けようと
いう人にはお奬めできません。 インフレには強いのですが、換金性はあまり良いとは言
えません。

では、どの様な買い方をすればよいのでしょうか。 ダイヤモンドは宝飾品、アクセサリ
ーとして身につけて楽しむ、所蔵して眺めて楽しむ、財産にするの三つがあるとされます。
これら三つに加えて、社会的なステータス・シンボルとしての意味があるという人もいま
す。

結論から言えば、アクセサリーにするのと同時に所蔵して眺め、豊かな気分を味わい、財
産として子孫にも伝えたいというのが一般的ではないでしょうか。 そして社会的にもス
テータスが認められ、皆に誇れるということでしょう。 このように少しオーバーに言え
ば一石二鳥か三鳥になりうるのがダイヤモンドであると言えましょう。 他の宝石、例え
ばルビーやエメラルドは合成石との鑑別が簡単ではなく、素人には値段の高低を判断する
ことが難しいでしょう。

ダイヤモンドの場合でも、流行のカットを選んでしまったり、ファンシーカラーのものを
選んだりしてしまうと買うときに高くついたり、ごまかされたり、売りたくても売れない
ということになります。

投資が目的ならば一般的に 0.5-3.0 カラットで色はホワイト(D−H)で、透明度は SI
以上のもがよいとされています。 普通、一般によい石とされているのは、色がDからH
で透明度はVS2以上とされていますので、この点も参考にするとよいでしょう。

よく宝石店でダイヤモンドをセットした宝飾品を買いに来たお客さんが「これは投資にな
るでしょうか?」と質問しているのに出会います。 決して宝飾品を投資の対象にしては
なりません。 宝飾品は宝飾品として美しさの値段で売られているのであり、ダイヤモン
ドの値段で売られている訳ではありません。 例えば指輪として 200万円したものでも、
ダイヤモンドだけ外して売ったら 30万円だったということは良くある話です。


研磨ずみダイヤモンドの市場


研磨済みダイヤモンドの価格に影響を与える要素として次の諸点が挙げられます。
@ 原石の供給とその価格
  デビアスがサイト・ホルダーに売り渡す原石の量と価格は、最終的には研磨済みダイヤ
  モンドの価格に影響を与えることになります。
A ファッションの動向
  ファンシー・シェープやファンシー・カラーの流行は数週間の内に研磨済みダイヤモンド
  の価格を変動させるだけでなく、原石の価格にまで影響を与える場合があります。
B 経済の状況
  不況時には品質の良くない石に需要が片寄り、良い石との価格差が小さくなります。
C 鑑定書(保証書)の役割
  鑑定書(保証書)がダイヤモンドへの投資にあたって、品質を保証する役割を果たす様に
  なって、高品質の研磨済みダイヤモンドに大きな需要が生まれ、価格を押し上げています。

取引の通貨


ダイヤモンドの取引は以前はポンドで取引されていましたが、ポンドの価値が弱くなった
りしたことから、現在はUSドルによる取引に変わりました。 ですから、ダイヤモンド
を買うことはドルを買うことでもあるのです。


カラット(重量)と価格との関係(一般的な計算方式)


昔からダイヤモンドの価格は重さの二乗に比例する(二乗 The square 方式)と言われて
きました。
すなはち、1カラットが仮に 50 万円なら、2カラットは 2 x 2 x 50 = 200 万円、
3カラットは 3 x 3 x 50 = 450 万円といった具合です。

一般的にカット済みのダイヤモンドはダイヤモンド原石の半分程度の大きさになると言わ
れています。
そして現在のブリリアント・カットはダイヤモンド原石からあまり効率よくは採れません。
需要の動向も変わってきました。 大きな石に対する需要よりも、ある程度小ぶりな石の
需要が多いのです。 全て、昔とは違ってきたのです。 そこで、ダイヤモンド貿易会社
(DTC) は低品質の小さい石の値段を値上げしたのです。 その結果、二乗方式は適合しに
くくなっていったのです。
 (注:ダイヤモンド貿易会社 (DTC) については
デビアスの項を参照ねがいます。)

その後、出てきたもう一つの計算方法はダイヤモンドの価格は重さの半分に重さに2を足
したものを掛けた値に比例する(スクラウフ Schrauff 方式)という方法です。

すなはち、1カラットが仮に 50万円なら、2カラットは (2÷2) x (2+2) x 50 = 200万円、
3カラットは (3÷2) x (3+2) x 50 = 375 万円といった具合です。

しかし、これらの方法が必ず当てはまるほど物事は単純ではありません。 実際の価格例
と比較してみると次のようになります。 (1カラットを基準に二乗方式、スクラウフ方
式と実際の値段の比較)

   カラー・グレード (E)、クラリティ・グレード IF の場合       (単位 US$)
    ┌─────────┬------┬------┬------┬------┬------┬------┬------┐      
    │  カラット数  │ 0.50 │ 1.00 │ 1.50 │ 2.00 │ 3.00 │ 4.00 │ 5.00 │      
    ├─────────┼------┼------┼------┼------┼------┼------┼------┤      
    │  二乗方式   │  2700│ 10800│ 24300│ 43200│ 97200│172800│270000│      
    │ スクラウフ方式 │     -│ 10800│ 28350│ 43200│ 81000│129600│189000│      
    ├─────────┼------┼------┼------┼------┼------┼------┼------┤      
    │カラット当りの値段│  6500│ 10800│ 12000│ 19200│ 28700│ 30500│ 39000│      
    │ 実際の石の値段 │  3250│ 10800│ 18000│ 38400│ 86100│122000│195000│      
    └─────────┴------┴------┴------┴------┴------┴------┴------┘      
                                                               
   カラー・グレード (L)、クラリティ・グレード VVS2 の場合     (単位 US$)
    ┌─────────┬------┬------┬------┬------┬------┬------┬------┐      
    │  カラット数  │ 0.50 │ 1.00 │ 1.50 │ 2.00 │ 3.00 │ 4.00 │ 5.00 │      
    ├─────────┼------┼------┼------┼------┼------┼------┼------┤      
    │  二乗方式   │   875│  3500│  7875│ 14000│ 31500│ 56000│ 87500│      
    │ スクラウフ方式 │     -│  3500│  9188│ 14000│ 26250│ 42000│ 61250│      
    ├─────────┼------┼------┼------┼------┼------┼------┼------┤      
    │カラット当りの値段│  1800│  3500│  3700│  4300│  6000│  6300│  7100│      
    │ 実際の石の値段 │   900│  3500│  5550│  8600│ 18000│ 25200│ 35500│      
    └─────────┴------┴------┴------┴------┴------┴------┴------┘      
これからも判るように、現在では二乗方式は大きな石になるほど値段が高めになってしまいます。  さて、スクラウフ方式はどうかと言いますと品質により適合する場合もありますが、
決して当てはまると言える状態ではありません。 しかしながら、一つの目途としての
意味はあるかも知れません。

結局、一般的にダイヤモンドの価格に適合する計算方式はないのです。


どの様な形のダイヤモンドを選ぶか


形を選ぶときの観点をまとめておきました。
 1)個人の好みの問題(多くの人は単に一つの形でなく、幾つかの形を好みます。)
 2)輝きの量
 3)どの程度の大きさのダイヤモンドを買うのか
 4)大きく見せたいのかどうか
 5)指輪の場合は手の大きさや形
 6)ダイヤモンドの色や透明度に対する考え
 7)実際に手に入る形か
 8)購入の目的が単に楽しむためか、投資のためか

形による価格の違い

1.形による価値の差はラウンド・ブリリアント・カットを 100 とした場合
                       Round brilliant cut
                                                                 一般的な評価
   マーキーズ(ブリリアント)   Marquise or Navette (brilliant) 57 - 55   
   ペアシェープト・ブリリアント  Pear-shaped brilliant                50        
   オーバル・ブリリアント     Oval brilliant                  47 - 45   
   ハートシェープト・ブリリアント Heart-shaped brilliant          46 - 44   
   エメラルド・カット       Emerald cut                     45 - 42   
   プリンセス・カット       Princess cut                    44 - 42   

  と言われていますがいざ実際に購入の段になると価格はこれより 20% - 30% は高くなります。

2.形による価値の差は
  カラー(色)が悪ければ拡大し、クラリティー(透明度)が悪ければ縮小するとされています。
  すなわち、黄色いダイヤモンドはファンシー・シェープになるとラウンド・ブリリアント
  に比べて価格がより大きく違ってきますが、含有物の多いダイヤモンドの場合は逆に
  ラウンドとファンシーとの差はより少なくなると言われています。

3.小型のダイヤモンドの場合
  0.15 カラット以下の場合にはラウンドよりもファンシー・シェープの方が価格が
  5-15% 前後高く、1カラットでは前述のように逆にラウンドの方が 20% 前後、
  価格が高いのです。 普通、0.15-0.30 カラットではラウンドとファンシーは大体
  同じ価格だと考えてよいでしょう。 
  ファンシー・シェープの中ではマーキーズの需要が多く、価格も高くなっています。  

このように大きさによって形ごとの価格が異なる理由は、色々な要素が合わさっている
ので、簡単ではありません。
ここでは参考までにその理由と考えられるものの幾つかを挙げておきます。
  1)ファンシーは小さくても特殊なカット技術が必要です。
  2)小型のラウンドは回転が早く、在庫になりませんが、ファンシーは在庫になります。
  3)ファンシーは実際にカットに時間がかかります。

ダイヤモンドの価格と研磨技術者との関係


ダイヤモンドの価格が基本的にはダイヤモンドの重量に比例することは先に述べましたが、
この比例の仕方は段階的になっており、決して単純に比例している訳ではないことに留意
すべきでしょう。 そこで研磨技術者は次の二点に集中します。

	@ 一つの原石から最も輝くプロポーションのカットを取り出す
	A 一つの原石から最も重量のあるカットを取り出す

傾向としては、結晶がカラーの面からもクラリティの面からも高品質である場合には最も
輝くプロポーションのカットを取り出す魅力がより強くなり、品質が劣る場合には最も重
量のあるカットを取り出すことによって、自己の利益を最大限にする努力をするようです。
しかし、最終的には最もお金になるカットの方法を考えるものだと言ってもよいかも知れ
ません。 
例えば、もうちょっと削ればもっとプロポーションがよくなると判っていても、重量区分
が一段階下がるならば、価格は大幅に下がってしまいます。 そこで妥協する訳なのです。 
これを逆から見れば、各段階の始めギリギリのもの程よい研磨がなされていない可能性が
高い訳です。 特に一般的に価格決定の評価対象である4つの要素(重さ、色、透明度
およびカット)の内、アスキング・プライスの表からはカットが外されている場合も多い
ので、カットに目をつぶってしまうのです。
何しろ、カットが仮に一段階下がっても 5 - 8% の差であるのに対して重量区分が一ラン
ク下がれば、10 - 20% の違いがでるのですから。 それも、素人相手にごまかしてしま
える可能性だってあるのです。

この様な研磨技術者側の勝手を許さないための買い方は、ダイヤモンドを見る目を養うこ
とが最も望ましいのですが、素人の場合にはそうもゆきません。 そこで

  @ カットの良い Very good, Very good のものを購入する
  A それが無理なら、重量区分の各段階の始めギリギリのものは注意する(避ける)
  B 最後には、ダイヤモンドの専門家の助言、助力を得る

ことをお奬めします。                                                                                         

ダイヤモンドの評価基準と実際のカットにあたっての歩留り


当初、ブリリアント・カットの最も美しい形として数学者トルコフスキーによって計算さ
れたものは、現実的ではないとの指摘も以前からなされてきました。 このトルコフスキ
ー形のカットを最も標準的なダイヤモンドの結晶型であるオクタヘドロンから取り出そう
とすると、非常に多くのロスが発生します。 すなわち、価格的にも高価にならざるを得
ません。 

そこで、基本的には全ての入射光線が反射して出てくる形ではあるが(パビリオン角は同
じ)、主として(クラウンを低く、テーブルを大きくして)個人の好みによって好き嫌い
のある虹色のファイアと呼ばれる色をほんの若干少な目にした(クラウン角を心持ち緩や
かにした)ブリリアント・カットをヨーロピアン・カットとしたのです。 この形はトル
コフスキー形よりもロスの発生の少なく、どちらかといえば白色のきれいな輝きをします。 
同じ1カラットでもトルコフスキー形はダイヤモンドの直径がその後に開発されたヨーロ
ピアン・カットやユーリッツのカットに比べて小さくなります。 ですから背は高いので
すが、その割には小さく見えます。 勿論、輝きの量もほんの少しですが少ないのです。 
カラットあたりでは、より大きく見え、輝きの良く、価格的にも合理的なヨーロピアン・
カットが国際的な基準として定着してゆくことになったのは当然のなりゆきでした。 

現在でもアメリカのGIAはトルコフスキー型を理想形としています。 これに対してヨ
ーロッパ(アントワープ)のHRDでは歩留りがよく、より実質的な形、ヨーロピアン・
カットを基準にして評価をしています。

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