<ダイヤモンド代用石>
[ 代用石(類似石)の利用|ダイヤモンドと代用石(類似石)を区別する方法 ]
善意で(知らずに)、あるいは悪意で(知りながら)ダイヤモンド代用石を使用する場合
があります。
ではダイヤモンド代用石にはどんなものがあるのでしょうか?
その昔はガラスがダイヤモンド代用石の主流でしたが今は合成石になっています。
ここでは主たるものを挙げておきます。
ダイヤモンドとダイヤモンド代用石(類似石)の物理的な性格の比較は次の通りです。
化学組成 屈折率 分散 比重 硬度 熱伝導性
┌───────────┬----------┬------┬------┬------┬------┬----------┐
│ │ │ 2.62 │ │ │ │ │
│チタニヤ(合成ルチル)│TiO2 │ -2.90│ 0.280│ 4.25 │ 6-6.5│ low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│チタン酸ストロンチウム│SrTiO3 │ 2.41 │ 0.190│ 5.13 │ 6 │ low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ZrO2 │ │ │ │ │ │
│キュービックジルコニア│+ CaO/Y2O3| 2.19 │ 0.060│ 5.65 │ 8-8.5│ very low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│GGG │Gd3Ga5O12 │ 2.03 │ 0.038│ 7.05 │ 6.5 │ very low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ 1.925│ │ │ │ │
│ジルコン(ハイタイプ)│ZrSiO4 │-1.984│ 0.039│ 4.70 │ 7-7.5│ low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ヤグ(YAG) │Y3Al5O12 │ 1.83 │ 0.028│ 4.57 │ 8 │ very low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ジルコン(ロウタイプ)│ZrSiO4 │ 1.810│ 0.039│ 4.00 │ 6.5 │ low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ 1.76 │ │ │ │ │
│合成コランダム │Al2O3 │ -1.77│ 0.018│ 4.00 │ 9 │ low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │(MgO)2 │ │ │ │ │ │
│合成スピネル │・(Al2O3)5 │ 1.73 │ 0.020│ 3.63 │ 8 │ very low │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ 1.44 │ │ 2.00 │ │ │
│ガラス │SiO4 │ -1.70│ │ -4.20│ 6-7 │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │
│ダイヤモンド │C │ 2.42 │ 0.044│ 3.51 │ 10 │ very high│
└───────────┴----------┴------┴------┴------┴------┴----------┘
実際にダイヤモンド代用石が使われた場合にどの様にして見分けたらよいのでしょうか?
区別する方法を単に目で見る簡単なものから器具を使う本格的なものまで列挙してみまし
た。 参考にして下さい。
- <目で見て判る>
- @ ライン・テスト
- 線を引いた紙の上に石を置き、パビリオン側から見るとダイヤモンドは線が見えなく
なる(クラウン側から入った光線は全反射して再びクラウン側に出て行くのでパビリ
オン側には光が洩れないはずです)のに対して、他の代用石は線が見えます。
この方法は簡単で費用も掛からず、大変よい方法なのですが、裸石でラウンド・ブリ
リアント・カットの場合に限られます。
- A 傾けてみる
- 石を徐々に傾けてゆくと屈折率の低い代用石はダーク・フィールドが現れます。
(合成ルチルはダイヤモンドより屈折率が高いので要注意です。)
- B 分散の量もしくはファイアの度合いを比較する方法
- 石のテーブルに対して直角の方向から石をみて、プロポーションのよいダイヤモンド
のファイアとファイアの度合いを比較する方法です。 これは代用石により、ダイヤ
モンドとは分散に違いがあることを利用した方法です。
- C 見ただけで判る
- ダイヤモンドはダイヤモンド独特の金剛光沢を持っていますし、スターやキャッツア
イの様な特殊効果は決してありません。 この様なダイヤモンドの特徴から区別でき
る場合もあります。
- <触ってみる>
- @ 触感温度
- ダイヤモンドは熱伝導性がよいので熱はすぐに逃げてしまい、常に冷たい感じが
します。 身につけた時に温まるのが早いのもダイヤモンドです。 しかし、ダイヤ
モンドに手の脂が付いてしまうのが欠点です。
- A くっつき・テスト
- 小さな石を唇で湿らせた指の上に乗せるとダイヤモンドはなかなか落ちませんが
他の代用石はすぐに落ちてしまいます。
- <息を吹きかけて調べる>
同じ温度のダイヤモンドと他の代用石に同時に息を吹きかけると、ダイヤモンドは付
いたキリが他の代用石よりも早く晴れると言うものです。 (熱伝導性の良さを利用)
ただし、常に本物のダイヤモンドを持っていなければ出来ません。
- <テーブルに水をたらす>
もしも、石がきれいで脂などが着いていなければ、水滴がテーブルの上に長く留まります。
他の代用石の場合には比較的に早く拡散します。
- <ボラゾンで傷つけてみる>
Borazon という人工的に作られた鉱物があります。 硬度 9.75 でダイヤモンド以外の全
てに傷をつけることが出来ます。 この針で石に傷をつけてみます。 傷が付かなければ
本物、傷が付けば代用石と言うことになります。 (硬度差を利用)
しかし、この方法は代用石であった場合に石に傷をつけてしまうという欠点があります。
- <ルーペで調べる>
- @ ガードルが bruted の場合は、その出来上がりを見れば判ります。
- 例えば、キュービック・ジルコニアでは磨き方が悪いような状態を示します。
- A 仕上げは他の代用石の場合、カットが甘くなります。
- 特にファセット・エッジがスムーズで 丸くなっていたりします。
(硬度が高いことの利用)
- B ダイヤモンドはダブリングは起こしませんので、これで判別できる場合もあります。
- (単屈折性で通常複屈折はしないことを利用)
- <顕微鏡で調べる>
ダイヤモンドの内部特徴や外部特徴を調べて判断する方法です。
- @ natural などにダイヤモンドの特徴がでていないか調べます。
- (貝殻状の断口に注目)
- A graining はダイヤモンド独特の性質を示します。
- (クリーベッジの方向、研磨の方向)
内部にクリーベッジがあるのはダイヤモンドとトパーズ位でトパーズは輝きも悪いし
ファイアも無いので、輝きがありクリーベッジのあるのはダイヤモンドと言う事にな
ります。
- B 含有物から判る場合もあります。
- (ガーネットやオリビンが入っていたら人工のものです)
- <特殊顕微鏡で調べる>
ダイヤモンドのテーブルからキューレットまでの距離をノギスなどで 0.01mm の単位まで
測ります。 これを A とします。
照準距離を測定できる顕微鏡で、同様に、最初テーブルに照準を合わせ、次いでキューレ
ットに照準を合わせ、その差を測定します。 これを B とします。
A/B = 実際の距離/見かけ上の距離 = 屈折率 となるはずです。
屈折率の違いにより、ダイヤモンドか他の代用石かを判定します。
- <ダイヤモンド・テスターで調べる>
ダイヤモンドは熱伝導率が非常に高いので、これを利用したダイヤモンド・テスターが開
発されています。 これは熱を加えてそれが如何にすぐ消えるかを測るものです。
注意すべきことは、銀で周りを囲ったような石の場合に、間違えないことです。 銀とダ
イヤモンドは同じように熱伝導率が高いので混乱し易いからです。
- <屈折率の計測器を使う>
屈折率の計測器を使えば、その石の屈折率が判りますから、ダイヤモンド(n2.417)かある
いは他の代用石かが判ります。
- <分光機で調べる>
ダイヤモンドの種類により特有のラインがでているかどうか、分光特性を調べます。
但し、特有のラインがでていないからダイヤモンドでないとは言えません。 あくまで補
助的な役割が期待されるにすぎません。
- <X線で撮影する>
ダイヤモンドはX線を透過しますのでX線写真には写りません(写ってもぼんやりと写る
程度です)が、他の代用石はX線を透過しませんのでX線写真に明確に写ります。
- <ダイヤモンドの比重(3.52/cm3)を利用する>
沢山のダイヤモンドをいっぺんに処理する方法として、ダイヤモンドと同じより少し重い
比重(3.75g/cm3) の液を作り、これに石を入れゆっくりかき回します。 すると大部分
の代用石は沈み、ダイヤモンドは浮き上がります。 浮いた石をきれいに洗い乾かし、次
いで今度はダイヤモンドと同じより少し軽い比重 (3.3g/cm3) の液を作り、先ほど浮い
た石を入れます。 同様にゆっくりかき回しますとダイヤモンドは沈みます。 これでダ
イヤモンドが分離できます。注意すべきことは小さいダイヤモンドが表面張力により浮い
てしまうことです。