<ダイヤモンドの性質>

結晶の性質 | 化学的性質 | 物理的性質 | 光学的特性 | その他の特性

ダイヤモンドの結晶の性質


ダイヤモンド原石の結晶
ダイヤモンドの結晶は等軸晶系に属し、その三方向の結晶軸の長さは等しく、軸どう しは互いに直角に交わります。
ダイヤモンドは炭素の結晶ですが、それがすべての物質のうちで最も硬いのは、結晶内部 の炭素原子が密集して配列し、しかもその相互の結合が非常に強固なためです。

ダイヤモンドの結晶形
ダイヤモンドの原石は、その結晶形が理想的な形状であることは少なく、結晶面が不 均等に発達して、その形が歪んだり、、変形したものが多いのです。 しかし、多くの結 晶の形を整理分類してみると、そのほとんどが、三種類の基本となる結晶の組み合わせに より出来ていることが判ります。
  1. 八面体結晶(オクタヘドロン) 最も多い
  2. 十二面体結晶(ドデカヘドロン)次いで多い
  3. 六面体結晶(キュービック) 比較的に少ない
各種の原石の複雑な形状のものも、これら三つの基本形の組み合わせでできています。 ただし、実際の結晶は、一部の結晶面が異常に大きく発達したり、結晶面が湾曲して丸み を持った面となったりして、歪んだ形状のものが多いのが実状です。 その上、さらに双 晶や、割れたり欠けたりした一部欠損の結晶などがあって、多様な形状で産出します。

ダイヤモンド原石のタイプ(T型とU型)
鉱物としてのダイヤモンドは、窒素の含有量によってT型とU型に大別され、それぞ れが、さらにa型とb型に分けられます。

  • T型のダイヤモンドは窒素を 0.1% 程度含むものです。
       
    • Ta型は窒素の薄い小さな層が析出して、立方格子の立方体の面に平行に含ま れています。
      色の吸収を生ぜず、基本的には無色透明です。
      通常のダイヤモンドがこれにあたります。
       
    • Tb型は窒素が結晶の中に均一に溶け込んで、炭素原子を置き換えて入ってい ます。
      これは結晶ができてから急に冷却されたために、窒素の層が抽出しなかったものです。 炭素を置き換えている窒素は、炭素よりも電子を一つ多く持っています。
      この余分の電子が黄色の着色の原因になっていると考えられています。
      窒素の量が増えると緑色みを帯びて、さらに増えると殆ど黒色を呈するようになりま す。
      常温では電導性を示しません。 合成石の殆どはこの型に属します。
       
  • U型のダイヤモンドは窒素を殆ど含まないもので、熱伝導性が特によい性質を持 っています。 産出は、おおよそ全体の 1/1000 程度で希です。  
       
    • Ua型は電気絶縁体のものです。 この型のものは集積回路の放熱板として使 われます。
       
    • Ub型は半導体の性質を示すものです。
      この型は炭素の一部がホウ素またはアルミニウムで置き換えられています。
      ホウ素とアルミニウムはどちらも外側の電子構造が炭素よりも電子が 一つ少なくなっています。
      通常含まれる量は、100 万炭素原子あたり1個のホウ素原子の割合で あるといわれます。
      そのために、正孔と呼ばれる正電荷をもった孔ができていて、この正孔がダイ ヤモンドを僅かに青く着色させたり、半導体に使われる原因になっています。 産出は極極希です。(U型の 1/1000 程度)
       
T型とU型とはしばしば、見掛け上一つの結晶の中で累帯構造(縞状の互層構造)をつく っていて、ダイヤモンドの結晶が成長している時に環境、温度などの変動があったことを 示しています。

ダイヤモンドの化学的性質


宝石にはただ一種の元素から成り立っている元素鉱物と二種以上の元素から成り立ってい る化合鉱物がありますが、ダイヤモンドは唯一単一の元素(炭素)で構成される宝石です。 

この美しく輝き、最高の硬さを持つ物質が軟らかくて時として汚れのひどい物の代表とさ れる炭や油煙や鉛筆の芯などで知られる石墨(グラファイト)と同じ成分の炭素からでき ているのですから不思議です。

ダイヤモンドの化学結合は共有結合と呼ばれるもので、原子が結合するとき、互いに価電 子を共有しあうことによって、不活性気体(価電子8)と同じ電子配列となる結合で、 その結晶構造は、面心立方格子と呼ばれる一辺の長さ 3.560A の立方体構造で、各面の中 心に1個の炭素原子があります。 さらにその立方体の内部にある炭素原子は、1.54A の 極めて短い距離で4本の腕を出して、まわりの炭素原子と立体的に結合しています。 その原子間の結合は共有結合と言われる強固な結びつきのため、この結合の強い原子同士 を引き離すには非常に大きなエネルギーが必要になり、それが硬度が高い原因となってい ます。

他方の石墨(グラファイト)では、炭素原子は三つの炭素原子に囲まれて六角形の網目状 に並んでおり、この六角網が積み重なって、層状構造をつくっています。 網目の中は強 い共有結合で結ばれていますが(炭素間の距離は 1.42A)網目と網目の間はファンデルワ ールス力と呼ばれる、化学結合としては最も弱い力が働いているだけです(網目間の間隔 は 3.35A)。 そのため、石墨(グラファイト)の結晶は非常に軟らかく、また薄く剥が れ易いので、粉末は滑らかで潤滑材に用いられます。

この様に化学的には全く同一であっても、原子の配列または結合の仕方により、物理的な 性質は違ってきます。 同一化学成分もしくは組成を持つが、各々違った結晶形や物理的 特性を示す一組のの鉱物を同質異像といいます。 ダイヤモンドが宝石の王様であるなら、 宝石の女王様の「真珠」が「カルサイト」の結晶を「アラゴナイト」の結晶が覆ってでき ており、これらもまた炭酸カルシューム CaCO3 の同質異像であることは偶然にしても 興味の尽きないところです。


ダイヤモンドの物理的性質



ダイヤモンドのその他の特性


  • 親油性 (Stickiness against the oil)
    親油性があります。 採鉱されたダイヤモンド原石の選別にあたって、つい最近まで このダイヤモンドに親油性がある性質を利用して、グリース・テーブルの上に採鉱し て細かくした石を載せ、ダイヤモンド以外の石を水流で洗い流す方法をとることがな されてきたことはよく知られています。

  • 熱伝導性 (Thermal conductivity)
    熱伝導性が良く、中でも Type Uは非常に良いので、この性質を利用して、ダイヤモ ンド・テスターが開発されています。

  • 電気伝導性 (Electrical conductivity)
    電気絶縁体の性質を持つものと、半導体の性質を持つUb型のものがあります。

ダイヤモンドの性質の文頭に戻る
次項ダイヤモンドの加工へ