計算器具の話

 


 

指を使う

最初の計算器具は「指」であった、というのが多くの学者の共通した意見です。
人間は自分の手の指を折って数をかぞえ、指何本、という形で数を表わしました。
両手では足りなくなったら「一人分の手の指と」何本と表わします。
つまり、両手の指の数、10を単位として数え方が変わるわけです。
これが10進法の始まりです。
古代マヤ文明では足の指も使って数えたらしく、20進法を使っています。

ここでインド式指九九をやってみましょう。

5x5以上の計算で6x8の場合
両手の指を折りながら、数えてゆくと6は指が1本立ち、8は指が3本立ちます。
立っている指の数が十の位で、
一の位は折っている指の数を掛け合わせたかずです。




15x15までの計算で14x12の場合
片手は4本の指が立ち、もう片方は2本の指が立ちます。
最初に計算しない100があって
十の位は6で、
一の位が8ですから答えは168となります。




インドの伝統的な指の計算では、30の30乗(44桁)まで数えられると言いますが、
これには指の関節を使うとのことです。
親指の根元が1、第1関節と第2関節の間が2、第2関節から先の部分が3、
人差し指の第1関節と第2関節の間が4と数えてゆくと、片手で15まで、
両手で30まで数えられます。
両手が一杯になったら手の甲側を使って繰り上げます。
このようにして、30の30乗まで数えられるとしていますが、詳細は不明です。

 

へび算

インドの「へび算」は絵を地面や紙に描いて計算します。
123x24の場合
蛇を百の桁の蛇1匹、十の桁の蛇2匹、一の桁の蛇3匹と少し離して斜めに並べます。
次いで、これらの蛇に交わるように十の桁の蛇2匹、一の桁の蛇4匹を並べます。
蛇が重なったところに○印をつけ、印の数を数えます。
この時、上の印の数と下の印の数とを足し、10は左に繰り上げます。
答えは、2952になります。




「縄を使った計算」

 

マス目算

36x41の場合
36と41の二つの数を図のようにマス目の周りに書きます。
次いで、計算はマス目の中で行います。
まず、3と4がぶつかるマス目に3x4の答えである12を書きます。
十の位は左上に一の位は右下に書き、総てのマスを計算して埋めます。
斜めの帯の数字を足して答えは、1476になります。




 

ネイピアの骨 Napier's bones

ジョン・ネイピア John Napier of Merchiston (1550-1617) が発明した
かけ算や割り算などを簡単に行うための道具です。
木やボール紙で0から9までの棒状の同様のものを作ればすぐにできます。
足し方はマス目算の場合と同じです。
ネイピアの骨(セット)


46785399x7の場合
計算の仕方は次の通りです。

46785399x96431の場合

46785399÷96431の場合

 

アバカス Abacus

3000BC頃の古代バビロニアでは小石を地面に置いたり、
置きやすいように溝を掘った板に並べたりして計算をするようになります。
現存する世界最古のそろばんは、ギリシャ時代のアテネのサラミス島で発掘されたサラミスのそろばんです。
これは、大理石板上にギリシャ数字と平行線が彫られているもので、
「線そろばん」と呼び、その線上に小石を置いて計算していました。

サラミスのそろばん
Salamis Tablet
サラミスのそろばん
図解


これは「アバカス Abacus」と呼ばれる計算器具で、そろばんの元祖です。

もっとも、アバカスの使い方はまだ完全には解明されていません。
ただ、小石と計算に古くから関係があったのは確からしく、
計算(微積分)を意味する「カリキュラス calculus」という言葉は
計算に使う小石を意味する「カルクリ calculi」に由来するのだそうです。
そして、その小石を並べるテーブルのことをそろばん(アバカス)と呼ばれていました。

「カルクリ calculi」の計算
ローマ期には「溝そろばん」という板に溝を堀り珠を動かして計算するものがありました。

ローマのアバカス(複製)


中世時代に入って、テーブルに線を引き「計算台」としていました。
この計算台がカウンター(カウント=計算する)と呼ばれる由来とされています。
アラビア数字が使われるようになる前ば、お金を数えるのに計算盤を使わなければならなかった。
ドイツ人は計算盤を Rechenbank と呼んだ。 銀行を意味する bank という言葉はここからきています。

 

算盤

並べてられていた小石は中国では棒に通された珠となっています。
5を表わす2つの珠と1を表わす5つの珠を1つの軸にし、
それを並べる「スワンパン Suan-pan」となりました。
現在の日本の「そろばん」は5が1つで1が4つで1つの軸になっています。
中国の「スワンパン」という名称が日本の「算盤」になったと言われています。

ロシアのソロバン
ショティー Schoty
日本のソロバン
天下一(五つ玉)
中国のソロバン
スワンパン Suan-pan
日本のソロバン
かば玉(四つ玉)

 

計算尺

a×b=c が成り立つとき、log a+log b=log c(a、bは正数)
この対数の性質を利用して、すみやかに掛け算や割り算を行うことができるのはもちろんのこと、
乗除計算をはじめとして、比例・平方・立方・三角関数・対数などに関する計算が
簡単にできるよう工夫された科学器具です。
また、複素数、ベクトル計算も容易にでき、D1尺併用によて正弦比例計算も可能です。
また、土木測量と水理学をミックスした特殊目盛りを備え、スタジヤ測量、曲線布設、
マイニング流速公式などが計算できます。

計算尺の歴史については HEMMI 社のサイトを参照ねがいます。

掛け算と割り算
以下の写真が掛け算 2×7 を行なう計算例である。
この計算方法の逆を行えば、割り算 14÷7 ができます。

計算方法
まずD尺(固定尺の下から2番目の目盛り)の「2」に、カーソル線を合わせる。
次にCI尺の「7」を、カーソル線に合わせる。
その状態のまま、カーソルだけをずらし、カーソル線をCI尺の「10」に合わせる。
カーソル線はD尺では「1.4」に合っている。
位取りを換算し、答え14を得る。

 

機械式計算機

1600年-1800年

シッカートの計算機 Calculating Clock
Calculating Clock と呼ばれた機械式計算機が1623年にテュービンゲン大学のヘブライ語教授であった
ヴィルヘルム・シッカート Wilhelm Schickard、1592-1635 によって発明されましした。
6桁の加減算およびオーバーフローの検出、複数のネピアの骨を使った乗算が可能でした。

パスカルの計算機 Pascaline
Pascaline(パスカリーヌ)または Machine Arithmetique と呼ばれている。
ブレーズ・パスカルが1645年に発明した機械式計算機。
Pascaline は十進数を使った機械である。
しかし、当時のフランスの通貨は十進数ではなく、イギリスのポンド、シリング、ペンスと似ていた。
従って、金額を計算するのに Pascaline を使おうとすると、計算結果を更に変換する必要があった。

ライプニッツの計算機 Stepped Reckoner
ゴットフリート・ライプニッツは1672年に Stepped Reckoner と呼ばれる機械式計算機を発明した。
これは加減算だけでなく乗除算も可能であった。

シッカートの計算機
Calculating Clock
1960年に作られたレプリカ
パスカルの計算機
Pascaline
ライプニッツの計算機
Stepped Reckoner

1800年代

アリスモメーター Arithmometer
バロースの加算機 Adding machine
オドネルの計算機 Odhner Arithmometer
ヴィルゴット・オドネル Willgodt Theophil Odhner 1845-1903

アリスモメーター
Arithmometer
バロースの加算機
Adding machine
オドネルの計算機
An early machine built by W.T. Odhner
in St. Petersburg before 1900

1900年代

コンプトメーター Comptometer
自働算盤 Patent Yazu Arithmometer (Mechanical Calculator), “JIDOSOROBAN”
タイガー計算器 "tiger" calculator

コンプトメーター
Comptometer
自働算盤
Patent Yazu Arithmometer
タイガー計算器
"tiger" calculator

 

電卓

   

Willgodt Theophil Odhner